春の房総散歩 【後編】

映画を思い出しながら


お昼ごはんをすませたら、
ゆっくりと海をながめたくて、千倉海岸へ。
太平洋に面して東南に海が広がる千倉は、その細長い地形に沿って
延々と海岸線がつづいています。

私たちは、潮風王国に車をとめて、
ぐりも連れて、海をながめながら腹ごなしのお散歩です。




海に魅入るぐり、そしてまつげに魅入る私


大きな波がくると、水しぶきがかかるような場所までおりると、
さすがにぐりも、びっくりしたような表情で腰が引けていましたが、
それでも、興味津々と海をながめていました。






さてさて、そして海に面した街道沿いには、お花畑がたくさんあります。
ストックやキンセンカ、ポピーやキンギョソウなどの春の花々がいっせいに咲き、
色とりどりの花畑は、遠くからながめているだけでもきれいです。

南房総に咲く花のなかでも、私はポピーが大好きです。
和紙のようにくしゃっとした、薄くて皺のよった花びらと、
ゆらりと動きのある茎、オレンジ色のグラデーションがなんとも可愛くて...。

そんな私の希望もあって、ポピーを育てている花農家さんの畑を訪ね、
お花摘みを楽しむことができました。







花農家の方々は皆さん、とっても気さくで楽しい方ばかりで、
できるだけ大きなつぼみをえらんで...とか、
このあたりは、こんな色の花が咲くと思うよとか、
優しく話しかけてくれて、あれこれ丁寧におしえてくださいました。



どのはなみても、きれいだな


摘んできたお花は、今日も我が家で元気に咲きほこり、
天候不順でどんよりとした空模様の日々でも、明るい気分にしてくれています。





外国の風景ような　/　看板もかわいい


そして、いよいよ今回の旅の最後の目的地です。
むかった先は、房総半島は明鐘岬の突端に佇む小さな喫茶店、岬カフェです。

車をとめて、坂道をのぼっていくと、
小さな白い可愛らしい建物がちらりとのぞき、まるで外国の風景のよう。
実は、この小さな白い建物はカフェのトイレで、(かわいい)
お店はこの奥。いちばん最初の写真がまさに岬カフェです。

こちらのカフェをはじめ、ここは、映画『ふしぎな岬の物語』の舞台となった場所で、
その建物の可愛らしい佇まいやコーヒーの味わいはもちろんのこと、
実は、房総半島から富士山を撮る名所としても知られており、
今回も、その絶景が見られれば...という期待を込めて出かけたのですが、
生憎この日は霧がかかっていて、その景色には出逢えませんでした。






それでも、カフェの前に広がる景色はこんなに素敵です。
しだいに日が沈みつつあって、水面がきらきらと輝く様子を眺めながら
テラスでいただくコーヒーは格別でした。






映画では、小舟で浮島まで湧き水を汲みに行くシーンが印象的ですが、
このコーヒーも、鋸山の湧き水をつかって、
魔法をかけながら淹れてくださったのかな...などと感慨深く思いながら、
あたたかみのある手作りのカップでいただくコーヒーは、特別な味がするようでした。

...そうそう、もちろんここでも、ぐりは一緒。
抱っこをされてテラスに座っていたら、ワンコ用のお水を用意してくださいました。
そんな心づかいも嬉しかったです。






本当は、夕日が沈むまで居たかったけれど、
暗くなってしまわないうちに、後ろ髪をひかれつつ岬カフェをあとにしました。

こうして、愉しかった春の南房総の小さな旅はおしまいです。
南房総の春の花々をはじめ、さまざまな海の表情など、
自然に癒された充実の一日でした。
房総は、まだまだ魅力的な場所がたくさんあります。
また、機会をみつけてかならず訪れたいな...と、いまからひそかに愉しみです。



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