これまでも、これからも

母に甘えるパトリス、9歳頃

1月8日の午前中、
我が家の愛犬パトリスが、家族全員が見守るなか、
静かに、そして安らかに、息をひきとりました。
享年15歳でした。

昨年から、足が弱くなりはじめ、
お散歩に出かけても歩き方がぎこちなく、転ぶことが多くなったものの
それでも、まだまだ元気で若々しかったパトリスでしたが、
昨年9月末に、我が家の愛犬、次男坊のごまが急逝してからというもの、
みるみるうちに元気をなくし、ほぼ寝たきりの生活が暫く続いていました。

それでも、なんとか自力でごはんを食べ、
トイレまでは、踏ん張って歩いていたのですが、
年末からは、それもままなくなり、介助が必要となりました。

「一緒にクリスマスを過ごそうね」
「一緒にお正月を迎えようね」
そうやって、いつも声をかけながら、実は自分自身を励ます日々でした。



(写真左) なにが楽しかったのかな、ふたりとも笑ってる　/　(写真右上) ごまはいったい...



それでも、なんとか年を越してくれて
家族揃っての新年を迎えることはできたものの、
松の内を生き抜いたパトリスは、疲れてしまったのでしょう。
8日の朝、突然、横たわるからだをぴくりと動かしたかと思うと、
それまで、食事さえとらなかった口をわずかに開いて、
微かな声で、なにごとか訴えはじめたのでした。
私には「あ、り、が、と、う」と、そう聞こえたような気がしました...。

そのあとは、次第に脈が途切れ途切れとなり、
にっこりと、優しい笑顔で、永遠の眠りにつきました。

私たち家族は「ありがとう」と「お疲れさま」という言葉しかありませんでした。
長く苦しむことなく、あたたかいベッドのなかで、
家族全員にかこまれたまま天国に逝けたなら、
パトリスの最後はしあわせだったと思います。




甘いものには目がなくて


パトリスの写真を整理していたら、あまりの数に驚くと同時に、
自分がこれまで歩んできた道のりが、走馬灯のように思い出され
あのときも、このときも、いつもパトリスが傍にいたんだなと、
そう思ったら、こみあげるものがあり、胸がつまりました。

お散歩は嫌いだったけれど、おいしいものには目がなくて、
私がキッチンでお菓子を作っていると、必ずそばにきて
おりこうさんに、その作業をながめているのでした。

...パトリスという名前は、フランスのPatrice Julien氏のお名前から頂いたもので、
(ご本人に直接お会いした際に、それはいいね、と言っていただき了承済みなのです)
パトリスのおいしいもの好きは、そんなことも影響しているのかな。
...なんて思ったり。笑


ごまのお兄ちゃんになったり、孫のようなぐりちゃんが仲間入りしたり...と、
パトリスにとっては、怒濤の人生(？)だったかもしれませんが、
それでも、いま思うと、誰に対しても優しくて頼り甲斐のあるワンコでした。




最高の笑顔　/　かつて描いていただいた肖像画


いまごろ、ごまに案内してもらいながら
あの、太い虹の橋を渡っているのかな。
甘えん坊のごまが、つまらないから呼んじゃったのかもしれないけれど、
ふたりがまた逢えるなら、私はそれでよかったと思っています。
人見知りのパトリスなので、むこうにごまがいてくれると、私も安心です。
再結成を果たして、愉快な天国ライフを送ってくれたら嬉しいです。

そして、パトリス、ごま。
私たち家族は生涯、ふたりに与えて貰ったたくさんのことを
忘れることはないでしょう。
これまでも、これからも、いつも一緒です。
どうもありがとう。抱えきれないほどの感謝の気持ちをこめて...。


追伸
生前より、パトリスのことをご心配いただきました皆様に、
心よりお礼申し上げます。どうもありがとうございました。