黄金色の公園にて

落ち葉が、カサコソと音をたてて


いつの頃からでしょうか。

春の桜も、それはそれは見事ですが、
それにもまして、晩秋の紅葉に心惹かれるようになったのは。
真冬の、葉をすっかり落とした木々が、寒々しくうつるまえの、
束の間の燃えるような紅葉は、自然からの贈り物のようです。

その美しさは、うっかりしていると見逃してしまうので、
ことしも紅葉の色づき加減が、テレビのニュースなどで映し出されるたびに、
焦る気持ちでいっぱいに。

ここ近年は、毎年ドライブがてら、何処かしらの紅葉の眺めを愉しんでいたのですが、
ことしは、ここにきて何だか慌ただしく毎日が過ぎてゆき、そんな余裕もなさそう。
そんなわけで先週末、自宅から歩いてもほど近い公園まで、
色づく銀杏やモミジの木々を眺めに、ワンコを連れて出かけてきました。


あたたかな、黄金色


紅葉の色加減は、自然がつくりだすものなので、
二度と同じものを見ることはできないと、よく聞きますが、
銀杏の葉々の色づき加減も、葉の大きさも、去年とはまったく違った雰囲気です。
ことしは、どことなく葉が小さいのか、ちらちらとした控えめな風情でした。
葉がワイルドにばさっと落ちてくる様ではなく、ちらちらと舞い散る感じでした。

グラデーションも美しく

銀杏の葉で敷き詰められた場所は、黄金色の葉が反射するせいか、
夕方でもキラキラと明るく、ワンコたちは大喜び。
踏みしめるたびに、カサコソと音をたてる落ち葉の絨毯にむかって
ころがるように走っていきました。
そんな、2匹の様子を見ていると、連れてきてあげてよかったと思うのです。

銀杏の葉に埋もれるようで、一瞬どこにいるのかわからないほどです

左の写真、ウォーリーをさがせのようになってるゴマちゃん。さて、どこにいるでしょう？


パトリス(茶色いほうのミニチュアダックスフント)は、もう老犬の域なので、
ふだん、あまりお散歩もしたがらず、おうちでおとなしくしているので、
こんなに駆けまわって、ニコニコと嬉しそうな表情は、久しぶりでした。
まだまだ、元気いっぱいです。



...いっぽう、ゴマは、というと。
ゴマは嬉しいと興奮して、どこでもかしこでも、ごろん、ごろんと寝転がる癖があり、
この日も、銀杏の葉の絨毯のうえで、あっちにごろん、こっちにごろんと転げては
お気に入りの赤いセーターに、枯れ葉をたくさんつけて、かなり残念な姿に。
そして、次男らしくお兄ちゃんのあとをついてまわっては、
しつこく「遊んで」とせがみます。
パトリスは、物思いに耽りたいタイプなので、そんなゴマが、少々鬱陶しそうです。

ねぇ、聞いて　/　お兄ちゃん、待って　/　ねぇ、見て見て　　...とにかくしつこい


ゴマはあいかわらず寝っ転がってるのね、と思い、しばらく放っておいたのですが
そろそろ寒くなってきたし、帰る準備をしなければ、と
思い出したようにゴマを呼びに行き、抱き上げようとしたらば、
なんだか、ゴマがくさいのです。それもそのはず...。

ニオイのもと、発見!

キャーッ! ゴマが寝っ転がっている、その背中の下には、
ギンナンがごーろごろ。晩秋ならではの芳香がたちのぼっていました。
お気に入りのセーターも、ゴマのからだも、なにもかもギンナンのにおいが...。
まぁ、これも、銀杏ならではの風情ですね。
あきらめの境地でセーターを脱がせ、お風呂に入る前の子どものような、
泥んこ、すっぽんぽんの状態のゴマを抱っこして、急いで車にのせて帰りました。

...車のなかも、ギンナン臭でみたされたということは、言うまでもありません。
子連れの銀杏散歩だったので、ロマンチックとはほど遠いムードでしたが、
この、黄金色の光景を見ることができて、しあわせでした。
来年も、またいっしょに来ようね。

いつまでもここにいたい気分